集患・増患を目的に、リスティング広告やホームページを利用している歯科クリニックは多いです。
しかし、業者に任せっきりだったりクリニックの情報を業者と共有しないことで「広告費の無駄使い」「患者が増えない」「新規問い合わせは増えたけど患者にまでつながらない」といった様々な弊害を生んでいる可能性があることをご存じですか?
また、普段歯科クリニックのリスティンング広告に携わっている私からみて思わず「増患の近道になる情報を捨ててしまっていてもったいない!」と言いたくなる情報が実はあなたの歯科クリニックの受付に眠っています。
普段、受付で取る電話や患者さんのアンケート情報の共有を少し変えるだけで「パソコン画面」からは決して得られない集患・増患のヒントを広告・ホームページに活かすことができます。今回は、そんな受付に眠る情報を呼び起こし競合クリニックと差をつけるポイントをみていきましょう。
受付に眠る増患のヒントを見逃していない?
「新規問い合わせ」を「患者」に変えるカギは受付に眠っている
例えばあなたが「歯科専門」のウェブ業者にサイト作成やリスティング広告を委託しているとします。
「歯科専門」の指すその「専門」とは「クリニックの集患に関するノウハウ」や「歯科に関する専門知識をある程度持っている」ことを指しているのであり、任せっきりにしても患者数が増えることを指していのではないことをまずは理解しましょう。
「それじゃあ業者に委託する意味がないじゃないか!」と思う方も多いかと思いますが、「新規問い合わせ数を増やす」と「実際の患者につながる」の間には意外に深い溝があります。パソコン管理画面上でのあなたのクリニックの広告状況では、順調にコンバージョン※が増えているとします。
しかし、それは広告経由で「メール相談」「電話相談」を獲得したことを指しているに過ぎません。
つまり「電話・メールで相談したけれど思っていたのと違った」として患者につながらなかった場合も、コンバージョンにカウントされています。
「まずは新患を増やそう」「遠くからの患者も集めよう」と思ってホームページ開設やリスティング広告を始めたけれど「問い合わせは増えたけど新患の数は変わらない」のはこの溝を埋める作業をしていないことがひとつの原因です。
どんなに優秀なWeb業者でも、パソコン画面から見込み客が何を考えているか・どんな人物像かまで知ることは出来ません。「集患・増患をサポートするWeb業者」と「問い合わせを受ける受付」が情報を共有することが新規患者獲得の近道になります。
※コンバージョン:Webサイト上で獲得できる最終的な成果のこと。ホームページ・リスティング広告のコンバージョンは主に「メール相談」「電話」を受けたことを1件のコンバージョンとしてカウント。
パソコン上では分かりえない情報に競合と差をつけるヒントが隠れている
リスティング広告やウェブ解析ツール「Analytics」の管理画面をみたことがある方は分かると思いますが、管理画面からは見込み客が「何を経由してサイトを訪れたか」「どんなキーワードで検索しホームページに辿り着いたか」など本当に様々な情報を得ることができます。
しかし、反対にいえば管理画面に載っている情報は「パソコン経由の情報」のみです。
確かに検索者の「性別」「興味のあること」なども知ることができますが、「検索者の実際の口の中の具合」「どうしてホワイトニングをしたいと思ったか」「部分矯正で検索したけれどマウスピース矯正をすることに決めた理由」まで知ることはできません。
こうしたパソコン上からは分からない情報に「増患」「問い合わせを実際の患者に変える」が隠されています。つまり、「新規問い合わせ」を実際の「患者」にする・溝を埋めるヒントが電話での問い合わせ内容や相談内容に含まれているのです。
具体的には次の章で説明しますが、ひとつひとつの電話問い合わせの内容や見込み客の言っていた言葉・キーワードを情報として残しておくことが競合クリニックと差をつけるポイントにつながります。
受付で得る情報は広告費の節約にもつながる
実際にあった問い合わせ情報を書き留めておく・共有することのメリットは患者を増やすことだけではありません。広告を配信しても費用の無駄になる・問い合わせにはつながっても新患獲得には相性の良くないキーワードをあぶり出すことも出来ます。
例えば、あなたのクリニックで広告を出稿している「部分矯正」がパソコン上の管理画面ではコンバージョンも多く良好だとしましょう。しかし、実際にカウンセリングまではつながったとしても「もっと大掛かりな矯正でないと治せない」ことから、結果患者には全くつながっていなかったらどうでしょうか?
パソコンの管理画面上では決して分かりえませんが、その情報を共有することによってキーワード「部分矯正」による広告出稿を停止し他の費用対効果の高いキーワードに広告予算を配分することができます。
このように、不要な広告費を減らす・節約にもつながります。
相談内容はこと細かく残しておこう
さて、歯科クリニックの受付で得るお問合せ情報をWeb業者と共有するメリットを分かって頂けたかと思いますが、具体的にどのような情報を残しておき共有すれば良いのでしょうか?
個人的には「こんなことまで?」と思ってしまいがちな細かな情報まで共有してもらうと、意外なヒントが隠されている可能性があるので大変ありがたいなと感じています。ただ、受付サイドの負担などを考えるとなかなか難しいと思うので情報共有におススメのものとそのメリットをご紹介します。
マウスピース矯正?アソアライナー?診療名の呼び方で差をつける
歯科の診療名には、正式な診療名称だけでなく器具名を用いた名称や中には造語のように新しく誕生する名称があります。
例えば、「マウスピース矯正」を指す名称でも「インビザライン」「イークライナー」「アソアライナー」「透明な矯正」「見えない矯正」と様々な呼び方があります。
どの名称でその治療を見込み客が読んでいるのか・その治療に対して本当に見込み客の認識が正しいのかを知ることで無駄な広告費の節約・ホームページに掲載する内容の改善に結びつけることができます。
なので、最近話題の診療名や問い合わせの増えた呼び方はぜひ共有するようにしましょう。「どうして診療の呼び方が大事なの?」と思う方も多いかと思います。
まずは以下、情報共有の有無による良い例・悪い例をみてみましょう。
- 情報共有をしなかった時の悪い例
- マウスピース矯正専門の歯科クリニックがキーワード「見えない矯正」で広告を出稿
- 実際に受付に問い合わせがあるのは「裏側矯正」に対しての見込み客ばかり
- 裏側矯正の問い合わせが多いことを共有しなかったことで、Web業者は「見えない矯正」での広告出稿が裏側矯正につながっていると気づかない
- もっと早く情報を共有していれば広告費を節約できたのに・・・
- 情報共有をしたことによる良い例
- 最近テレビ番組で「アソアライナー」特集をしていた
- 実際のお問合せでも「マウスピース矯正」よりも「アソアライナー」と呼ぶ見込み客が増えている
- Web業者と「アソアライナー」での問い合わせが増えていることを共有
- 「アソアライナー」での広告出稿をスタート・ホームページにも追加
- 他競合クリニックよりも対応がスムーズだったことで売り上げアップに成功
いかがでしょうか?診療名の共有の有無だけで、かなり状況が異なりますよね。診療名ひとつを取っても、競合クリニックと差をつける・広告費を節約できるポイントがかなり隠されています。
患者さんのアンケート調査・相談内容も可能な限り共有を
診療名だけでなく「痛くない治療」「出っ歯を治したい」といった「悩み系ワード」や「要望」の共有も同様です。パソコン画面上のみからは見込み客が「どうしてマウスピース矯正をしたいと思ったのか」までは分かりません。
また、見込み客が自分に合った治療と理解して「マウスピース矯正」と検索しているのか・他のキーワードに予算を割いたほうが実際の歯科クリニックの売り上げには直結している可能性もあるのではといった問題解決のヒントがアンケート・問い合わせの何気ないフレーズの中に隠されていいます。
もちろん、個人情報の関係で実際のアンケート用紙自体を共有する必要はありませんが許容範囲内で共有してみてはどうでしょう?
おまけ:クライアントへの説明の失敗で気づいたこと
「パソコン上からは分かりえない情報を捨てないで!」の章の中でも少し触れましたが、サイト・ホームページの分析には本当に沢山の情報が溢れています。
Web業者とクライアントがこの分析結果を共有することで今後のサイト・マーケティング改善に活かすことが大切なのですが、時には逆効果を生んでしまうこともあります。分析結果を共有することが悪いのではなく「専門的な話でよく分からないから何とかやって」といった業者任せを生じさせてしまう原因につながることがあるからです。
また、リスティング広告の運営状況をクライアントと共有する際今の状況を伝えようとすればするほど、専門的・細かい内容の解説になってしまいがちです。
今考えても「失敗だったなあ・・・。」と思うのが、信頼関係を築けていないクライアントに不信感を抱かせてしまったことです。私が説明に慣れていないのに加え、クライアントからすると「何を言っているか分からない」カタカナ言葉を並べてその月のリスティング広告運営の解説(というよりそれを解説とは言わない)をしました。
他にも話し方などの要素や運営状況の上手くいっていないこともありましたが、この時の失敗から学んだのが
- Web業者側の言っていることがよく分からない
- 「取り敢えず任せる」環境になる・ただし分からないから任せているだけで信頼しているからではない
- クライアントとWeb業者が情報共有をしなくなる
- 集客・広告運営が上手くいかなくなると、お互いの信頼関係が上手くいっていないからすぐに業者を変える
- 変えたところで状況はあまり変わらない
この悪循環を、クライアントに時間を割いてもらいわざわざ作ってしまったことでした。
「Web業者と受付の情報を共有させる」ことの大切さを今回ご紹介しましたが、情報を「歯科医サイド」「受付サイド」「Web業者サイド」それぞれが理解・共有できる関係と環境作りが結果として全体を良い方向に向かわせるのだと思います。
まとめ
いかがでしょうか?最後に私の失敗談も含め情報共有の重要性についてお伝えしました。ホームページの管理画面からでは分からない・増患につながるお宝情報が受付サイド・アンケートに隠されています。
「こんな情報がWebに関係するの?」なんて思わず、ぜひ些細な情報でも共有する連携作りを目指して下さい。競合クリニックと差をつける要素が満載ですよ。