かかりつけ歯科医制度が開始!診療報酬がアップする高齢者向けサービスのアイデア(歯科特集08)

[著]
歯科と高齢者向けサービス

2106年4月から、厚生労働省による「かかりつけ歯科医」制度が導入されました。

高齢者への対応・医師との連携といった一定の条件をクリアし、継続的に患者を診ることで診療報酬が手厚くなるという「予防歯科」と「超高齢化社会」にフォーカスして作られた制度です。

今後迎える超高齢化社会に向けて、政府による様々な取り組みが行われていますが、歯科クリニックの診療報酬アップを考えた際どう向き合えば良いのでしょう?

今回は、超高齢化社会と診療報酬として売上アップにつながる歯科サービスについて考えていきます。

地域包括ケアシステムって?

高齢化社会向け歯科サービス

2025年、団塊の世代が75歳以上になることから本格的な超高齢化社会の時代へと突入します。地域包括ケアシステムとは、地域と医療・介護が連携して高齢者の自立した生活を支援し超高齢化社会に対応することを目的に作られたシステムです。

地域包括ケアシステムの一環である「かかりつけ歯科医」制度

「かかりつけ歯科医」の制度も、この地域包括ケアシステムの一環としてできた制度です。歯科が他医療と連携し高齢者を中心とした地域住民の健康を守ることが目的です。また、超高齢化社会に向けての訪問診療の重要性・予防歯科の必要性を示し今後の歯科医療の方向性を現した制度ともいえます。

深刻な訪問歯科不足の現状が診療報酬アップの要因

今後も超高齢化社会に向けた取り組みや新制度が作られると考えられますが、実際に訪問歯科は日本でどのくらいの需要と供給があるのでしょう?

厚生労働省・中医協の調査データを元に調べてみました。

訪問歯科診療の受容と供給の現状は?

平成27年の中医協による訪問歯科診療調査と、厚生労働省の要介護・要支援者の総数から数字でみていきましょう。

全国の要介護・要支援の該当者数 6,077,435人
訪問歯科を実施している歯科医師人数(1施設あたり) 0.65人
歯科医師が1ヶ月に訪問を行った実患者数 37.7人
全国歯科診療病院数(厚生労働省調べ) 68,807件

参考サイト:平成26年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成27年度調査)の速報案について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000103265.pdf

参考サイト:医療施設動態調査(平成27年3月末概数)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m15/dl/is1503_01.pdf

上記の表から、訪問歯科で歯医者一人当たりが診るべき人数を計算し実際の人数を比較すると以下のようになりました。

歯科医師が1か月に歯科訪問診療を行った実患者数 37.7人
全国の要介護・要支援の該当者数を歯医者一人当たりがみるべき人数 135人

実際には、訪問歯科が必要でない包括的なシステムの医療施設に入居している介護者なども含まれての計算なので多少異なりますが、必要な歯科診療が受けられていない可能性のある介護者が、診療を受けている介護者数の2.5倍以上いるという計算結果です。

また「要介護者・要支援者」以外の、高齢を理由に歯科に来院できない・来院しない人を含めるとさらに受容は高いと考えられます。かなりの介護者が必要な歯科診療を受けていないだけでなく、数値には含まれない高齢者を考慮すると訪問歯科を上手く活用することが今後の歯科集客のポイントにつながりそうです。

衛生士法から抜けたコンテンツが・・・?

高齢者向け歯科サービスと衛生士

話は変わりますが、平成26年に一部改正された歯科衛生士法に気になる点があります。衛生士における予防歯科への制度が変わったことで、今後の予防歯科の診療効率をアップにつなげることが出来ます。日本歯科衛生士会のホームページにはトピックとして以下のように記載があります。

改正の要点は、歯科衛生士法第2条第1項「この法律において「歯科衛生士」とは、厚生労働大臣の
免許を受けて、歯科医師の直接の指導の下に、歯・口腔疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする女子をいう。」の規定に関して、「歯科医師の直接の指導の下に」を「歯科医師の指導の下に」に改め、「女子」を「者」に改めたことです。
併せて、第13条の5に「歯科衛生士は、その業務を行うに当たっては、歯科医師その他の歯科医療関係者と緊密な連携を図り、適正な歯科医療の確保に努めなければならない。」との条文が新設されました。

参考サイト:公益社団法人 日本歯科衛生士会 より2014年7月1日トピックス
https://www.jdha.or.jp/topics/20140808.html

一見何が変わったのかわかりませんが、指導を受ければ歯科医師がいなくても予防処置を行うことが可能になったということです。つまり、効率的に予防歯科に関する診療がしやすくなったということですね。この改正も、予防歯科がより発展するようにという意図があるとも考えられます。(少し深読みかもしれませんが・・・)しかし、一方で「衛生士不足」という難しい問題も。

高齢者向けの歯科サービスを行う際に衛生士不足にはどのように取り組めば良いのでしょう?

ベテラン衛生士を確保して効率的に予防歯科診療を行おう

効率的に予防歯科の診療や訪問歯科診療を行おうとしても衛生士の確保が難しいという問題があります。女性中心の職業ということもあり20代・30代での結婚・出産による離職率も高く平均転職回数は3~4回と高めです。

また、厚生労働省の報告によると歯科衛生士の資格保有者のうち約6割が未就業となっています。結婚・出産後に再復帰をしてもらえる待遇が衛生士を確保するポイントになりそうです。

高齢者向けのサービスという面からも、キャリアを積んだベテラン衛生士による診療は安心感を持ってもらえる要素です。指導する手間が省けるといった面からも効率的に予防歯科診療を行うために、ベテラン衛生士の確保を再優先に考えたいところです。

集客のポイントは「本人」ではなく「周囲」?

さて、衛生士も確保しいよいよ高齢者向けサービスをスタートする際に集客においてはどんなことを考えれば良いのでしょう?特に、ホームページからの集客は「本人」ではなく「周囲」の人が決定打になりますよ。

ポイントはスマホやPCを使って訪問歯科を探している見込み客は、本人よりもその家族や介護をしている人である可能性が高いということです。「おじいちゃんの入れ歯の具合を診てほしい」と考え、スマホから検索する家族やヘルパーさんを想定してホームページ作成やリスティング広告の出稿をする必要があります。

一工夫で一石二鳥効果?

ホームページのデザインやアピールポイント・広告の出稿についても30代から50代を中心としたターゲット層に「この歯医者さんが良い」と思ってもらうことがポイントです。また「周囲」の人が訪問歯科を検索するので、その人達向けの歯科クリニックのコンテンツを充実させれば同時に集客できる「一石二鳥」効果も期待できます。「ついでに私の歯も診てもらおうかな」という具合に、周囲も歯科クリニックに来院する工夫をすればさらなる診療報酬アップにつながりますよ。

まとめ

超高齢化社会への対策は、様々な方面から行われていますが歯科クリニックの診療報酬という面では一見あまり期待できないようにみえます。

しかし、「かかりつけ歯科医制度」「衛生士法の改正」などを考えながら調べるとこれらを使わない手はありません。特に、都心から離れた地域では一気に診療報酬がアップする可能性も大いにあるので、あなたの歯科クリニックに最適の方法を是非取り入れていって下さい。

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