【WELQに学ぶ】医療情報提供の現状と今後の課題とは(歯科特集16)

[著]
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DeNAが運営する医療情報サイト「WELQ」が信頼性に欠ける内容や不適切な記事を掲載していたとしてYahoo!ニュースや様々なメディアで問題として取り上げられています。

会員登録により誰でも執筆できる医療情報サイトWELQからは、情報掲載におけるさまざまな問題と現状がみえてきます。

今回は、WELQ問題と一緒に医療情報として「規制」される情報・されない情報についてもご紹介。一概に医療情報といっても規制があるもの・ないものとは?医療情報の現状と今後の課題について考えていきましょう。

WELQの起こした問題とは何だったのか

2015年からDeNAによりスタートした医療情報サイト「WELQ」。

ローンチした2015年10月から、毎日数十にものぼる記事がサイト上に公開されています。多いときには一日百本以上の記事が公開されており、会員登録すれば誰でも記事を執筆することができます。

「死にたい」で上位表示の記事が問題に

WELQが問題視されることとなったのは今年10月。「死にたい」とGoogleで検索するとWELQの記事が上位表示されており、その内容や記事に含まれるアフィリエイト広告が不適切であるとTwitterやネット上で指摘されました。

問題となった記事には「死にたい、消えたいと思ってしまう深層心理」として「承認欲求が強い」「一貫性がない」といった根拠のない特徴が記載されており、モラルと信頼性に欠ける内容に批判が殺到。転職サイトへの広告が貼られていたことも炎上の要因となりました。

11月29日現在、「死にたい」と検索するとWELQが1ページ目10番目に出てきますが、クリックしても記事の掲載はなくトップページが表示されます。

「死にたい」記事から浮上したWELQの問題とは

この「死にたい」上位表示の記事を発端に、医療情報として根拠が無い・信憑性に欠ける記事が専門知識を持たないライターによって量産されていたことが問題に。

DeNA側は11月25日に医師や薬剤師による監修を行うことを発表していますが「検索上位に表示されること」だけに重きをおき、根拠のない医療記事を量産するという事の重大さに対して問題が解決したとは考えられません。

「健康や医療をもっと身近に。」というキャッチフレーズを持つWELQですが、その「身近」の意味するところが「誰でも医療情報を掲載できる」にあったのかと思うとぞっとします。

医療情報の掲載に規制はないの?

医療情報においての規制

Web上には大量の医療情報が配信されていますが、WELQだけでなく信頼性に欠ける内容が掲載されていることが多々あります。

医療情報に関して「専門家の監修が行われなければいけない」「信頼できる根拠がなければならない」といった規制や制限は特に定められていません。

今回のWELQもニュースやメディアに取り上げられたことで問題視されましたが、検索からの除外やペナルティとった対処は特にありませんでした。つまり、Web上に誰でも「医療情報」を掲載することが現状として可能なのです。

また、検索順位を決める要素として「コンテンツ」「リンク」などをGoogleのアルゴリズムが判断します。中でも「コンテンツ」は「読み手が知りたい情報」を指しています。

今回のWELQについては、「情報の信憑性」よりも「検索順位を重視した」記事が上位表示される可能性があるというアルゴリズムの現状をも示しています。

医療機関ホームページへのネットパトロールが開始

前章で「医療情報」掲載への規制がないと言いましたが、正確にいうと「医療機関」のホームページにおいては今後規制が設けられます。

詳しくは以下の記事をご参考頂きたいのですが、ざっくり説明すると医療機関の広告は「医療法」によって規制されています。

規制詳細は「医療ガイドライン」に定められており、今まで医療機関のホームページは医療ガイドラインにおいて「広告」に含まれていなかったのが今後は「広告」として規制対象に含まれます。

ホームページが規制されることになった背景として、美容クリニックなどのホームページに掲載される誇張表現が契約トラブル・健康被害につながったことが挙げられます。

「絶対安全な施術」「他クリニックに比べてお得」といった誇張表現が、トラブルの原因・営利目的な姿勢として問題視されたのです。

2017年より医療機関のホームページにおいてネットパトロールが始まり、ガイドラインに反する場合はペナルティを受ける可能性があります。

「医療広告」と「医療情報」の規制格差と今後

さて、医療情報に関しては制限がないのに対して医療機関のホームページや広告については厳しく規制が設けられていることを分かっていただけたかと思います。

WELQのように誰が書いたのか分からない医療情報がWeb上に掲載できる一方、取り締まられることとなった医療機関のホームページ。検索する側からするとどちらも同じ「医療に関する情報」ですが、規制に関しては大きな格差があります。

規制には格差がありますが、共通するのは「医療情報を提供する側が安全な情報を提供」しなければいけないことが改めて問われているということです。

「医療情報」の掲載に関しては「存在する監修者の記載」「引用元の取り締まりの徹底」といった規制が今後必要でしょう。

今回のWELQ問題は、業種の壁を超えて医療従事者・Web運営者によりまざまな議論がされています。このことからも「医療」という難しいテーマにおける情報提供には、さまざまな問題が複雑に絡み合っていることがわかります。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました。「医療」というテーマは安全かつ正しい情報が提供されるべきですが、一方で専門性が高いことからも取り締まりが難しいという現状があります。

特に情報が錯乱しやすいWebという媒体では、医療の専門家・Webの専門家の両サイドから問題解決へのアプローチが必要です。

本当の意味で「検索者にとって有益な情報」が上位表示されるためには、Googleのアルゴリズムだけでは限界に達しているのかもしれません。業種の壁を超え、安全な医療情報提供について考えていくことが重要です。

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