ネットの向こうには人がいる。その事実を常に心に留めておくことから始まります。会うでもなく、話すでもない、だけど、しっかり意図を届けられる。だからこそ、ネットの海に旅立つ前の支度は入念りに。ネット内では、あなたが指示した通りに従順に働いてくれる。その便利さは、反面、あなたの指示が適切かどうかの影響力が大きいということです。公式サイト、会社の顔となるサイトでは、改めて責任感を持ちましょう。
当たり前の作業の精度を高めることが大事
現状、ブログやメルマガを書く人は、ほとんどの場合いわゆるアマチュア、素人ですね。会社の大小問わず社長自らが、店長が、チェーン展開する各店舗のスタッフが、個人事業主、会社を作って独立したいと思うサラリーマンなどなど。
アマチュアゆえ、一生懸命さや不完全さに共感や好意が集まり、ファンが増えるというパターンも多く見受けます。根強いファンがリピーター顧客になっていくという理想的な流れですね。ところが、このパターンも、もう珍しくなくなってきました。似たような仕事内容だと、どのブログやメルマガを見ても同じに見えることさえありませんか?
よほどキャラが立つ人物であるとか、訴求する分野がニッチだとか、何らかのインパクトを持って打ち出さないと、個別認識してもらいずらい。ブランド認知を高めたいけれど、変に上品ぶって書いても、見る人にとっては底が浅く見える。知ったかぶりをしない、という誠実さは大切です。さらに知らないことを調べ、読み手とシェアするという姿勢や熱意も誠実さの一つかもしれません。そこで、オススメする文章力レベルアップ術として、見直す&調べるで、文章全体の底上げをする! です。
- 読み返すという、当たり前の作業をもっと丁寧に。
- 調べるという、当たり前の作業をもっと頻繁に。
1.読み返すという、当たり前の作業をもっと丁寧に。
A)一番気をつけたいのは、誤字脱字。
とにかくネット上には、誤字が溢れ返っています。例えば「以外」と「意外」。あぁあ!って思いませんか? 書くことを生業にする人もヤッちゃったままネット上にアップされて放置さているのを見かけます。少なくとも、気づいた段階で、すぐに、こっそり修正しましょう。次に見に来てくれた人への、最低限のおもてなしです。紙媒体、印刷物では不可能な修正も、ネットならチャッチャと対応できますから。
~ヤってしまいがちな誤字~
以上 / 異常 以降 / 移行
漢字テストみたいですね。もっともっとあるはず。このサイトのユーザーから募集したいくらい!気をつけるべき誤字特集、いかがでしょうか? 教えてくださいね、シェアしましょう。
脱字は、単純ミスか、キーボードのミスタッチですから、読み返してチェックするだけで十分、回避できますよ。
B)「馬から落馬」的な表現が多いって気づきますか?
最もヤってしまいがちで、最も見落としている表現が「無料購読」です。じつは、これ、かなり恥ずかしい日本語なんです。購読ってことは、買って読むという意味。それが無料になるってのは、あまりにも回りくどい表現です。ほとんどのメルマガで見られ、横行している危険語?! 無料なんとか、と言いたいなら「無料配信」が妥当。ネット接続料がかかるじゃないか、と重箱の隅を突つかれることを恐れるなら、「無料」のみで。「無料で読める」とか。いかにもな表現ですが、意味の重複には気をつけましょう。
次の C)にも、多少、関連します。
C)丁寧すぎる敬語、二重敬語は暑苦しい上に伝わりにくい。
近頃、最も多く見かけるのが、何でもかんでも「させていただく」と、くっ付けている文章。一生懸命に、敬意を表そうとしているので、トラブルになることはありません。が、あまり品がいいとも言えません。下手をすると卑屈に見える場合もあるので気をつけたいところです。以前は、何でもかんでも「◯◯◯◯してくださって」を使う、くださって男女がIT職に溢れていましたが、今では、あまり見なくなりました。不自然すぎる表現はいずれ淘汰されますが、淘汰される前から使わないのがスマートですね。
敬語をスマートに使うコツ。これは、高校時代の国語・古典に通じますので、懐かしい気持ちで身につけてください。その動詞の主語は誰か? これがポイントです。
例えば「食べる」。
お客様が「食べる」 → お客様が召し上がる。 尊敬語
わたしが「食べる」 → わたしが頂く。謙遜語
あなたが「食べる」 → あなたがお食べになる。丁寧語
時々、自身が食べる行為を「召し上がる」と書く人がいますが、誰が食べるのかを考えれば、ビックリ敬語にはなりません。「お召し上がりになる」は、尊敬語と丁寧語のダブル、二重敬語ですね。
D) 変換予測の罠に気をつけて!
ミスタッチに類似しますが、サクサクと変換予測が表示されて、特に急いでいる時はヤってしまいがちです。
例えば
◯◯って感じ。
◯◯って感じる。
一文字のミスで、はぁ??な文章になってしまいます。変換予測の設定を解除して書くほうが、かえって変換効率が上がり、安全な場合もあります。意識してくださいね。
2.調べるという、当たり前の作業をもっと頻繁に。
A)気持ちはわかるけど・・それ日本語じゃないし。
何か良いこと言いたい、書きたい。それは、誰もが持つ欲求です。そんな時こそ、普通の言葉を使うよう、自分に言い聞かせてください。欲求が抑えられない場合、極端に言うなら、書く言葉のすべてを意味検索するくらいの慎重さが必要だとお伝えしておきたいです。でないと、知ったかぶり以上に、知らなさすぎ丸出しになりますから。
~実際に目にした意味不明語~
サムエイ → 作務衣(さむえ)
若かれし頃 →若かりし頃
もっともっと、あります。すぐに思い出したビックリ言語。せっかくのいい内容が台無しになるし、もし公式サイトでの出来事なら、人によっては二度とWebサイトに訪問しなくなる人がいても不思議ではありません。少しでも、言葉の意味や扱いに引っかかったら、とにかく調べる! この点だけは手を抜かないでください。
B)調べるにあたっての小ワザ、「意味」入力。
上記の、調べ倒しましょう、というアドバイスに関連します。意味を調べる時、どういうワードを入力していますか? 例えば「慎重」という言葉、この文脈で使って意味的に大丈夫かな、と疑問が出たら、「慎重 意味」というキーワードで検索します。
必ず、◯◯◯◯というワードの次に「意味」を入れましょう。予測検索では、「意味」のほか、「とは」が出ますが、これはオススメしません。個人解釈が入っている場合もあるからです。「意味」の場合は、検索結果として辞書サイトに飛びます。辞書の意味に親しむ習慣を身につけてください。ウィキペディアよりも、言葉の意味は、辞書を頼りにしてください。なぜなら、意味の出典が辞書であるという信頼、正統な文章を書いているという自信につながるからです。
C)調べるにあたっての小ワザ、「類語」入力。
辞書を引くという行為が圧倒的に少なくなった今、せめてネット上では辞書に親しんでください。「類語」も慣れれば、かなり使えます。例えば「慎重」という意味で、他に何か言い方があればいいな、と思ったら、「慎重 類語」というキーワードで調べます。
文章中に、すでに「慎重」という言葉を使ったので、同じ意味で別の言葉を使いたいという時にも便利です。同じ言葉を重複させないというのも、文章の品格に関わってきますので、活用してください。
まとめ
少し辛口が続きましたが、小さな部分への気遣いを習慣化すれば、文章の格がぐんと上がりますよ。ぜひ、身につけましょう!