【事例解説付き】著作権問題について詳しく知ろう

[著]
著作権を考えるデザイナー

ロゴやイラストなどのデザイン作品に、類似の作品がないかどうかをチェックする方法についてご紹介します。

Webデザイナーやイラストレーターが注意すべき著作権についても解説していきますので、あわせて参考にしてくださいね。

類似デザインが引き起こしたエンブレム問題

2015年に巻き起こった、東京オリンピックのエンブレム問題。国内だけでなく、海外でも大きく報道されました。佐野氏の事務所が作成したデザインとそっくりのロゴが見つかったことが発端だったのですが、選考方法についても批判が集まりました。

記事執筆時点でもまだ解決済みではなく、新国立競技場建設のトラブルと並んで、社会現象と言われるまでに各方面からの注目が集まりました。

この問題、デザイナーにとっては他人事ではありません。デザインを似せたつもりがあるかないかは問題ではなく、自分のデザイン作品に似たものがあるか、キチンと調べておく必要があります。上述のエンブレム問題ほどの大事にはならないにしても、誰にだって似たような問題は起こりうるんです。

エンブレム問題では著作権について議論が交わされました。まずは著作権がどういったものなのか、基本的な知識について解説しておきましょう。

著作権の基礎知識

日本では、「無方式主義」と呼ばれる著作権の方式がとられています。制作したら自動的に著作権が発生するというもので、これはWebデザインの世界でも同様に適用されます。

また著作権で保護される期間については、死後50年(制作会社など団体による制作物の場合は公開後50年)となっています。これは日本国内の場合で、海外では保護期間の年数が異なるケースがあります。

著作権の概要については下記の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧いただければと思います。

知らなかったじゃすまない!覚えておきたいWebサイトでの著作権。
http://cocomachi.tokyo/web-copyright-1

Webデザイナーが著作権について知っておくべきこと

著作権についての基礎知識

Webデザインでは、ネットで手に入る写真やイラストを利用して作成することが多々あります。便利な素材サイトも多いのですが、だからといってむやみに使用するのは危険です。著作権に配慮して使用する必要があります。具体的なポイントについて見ていきましょう。

著作権で問題にならないためには

さて、著作権で問題にならないためには、どのようにして素材を使っていけばいいのでしょうか?

自分で撮影した画像素材なら、もちろんOKです。ただし、人物や店舗などが被写体になっている場合は、注意が必要。被写体となった人物や建造物の管理者に確認・許可をとった方がよいでしょう。

Webデザイナーが日ごろからお世話になっている、素材サイトで配布されている写真やイラストはどうなのでしょうか。こういったサイトで提供されている素材は、他人が制作・撮影したものです。

著作権も画像の作成者、もしくは管理者にあります。素材を使用する際は、必ず利用規約に目を通し、問題がないか確認するようにしましょう。特に、「商用利用可」になっているか、「モデルリリース取得済み」の写真素材かどうかは忘れずにチェックしてください。

著作権侵害になってしまうケース

一方で、著作権の侵害になってしまうケースについても見ておきましょう。
最も考えられるのは、他のサイトに掲載されている画像やイラストを無断で使用してしまっているケースです。

他のサイトの表示されている画像やイラストについては、そのサイトの管理者が著作権を保有しています。素材を使いたい場合は、管理者に確認をとり、許可をもらうようにしましょう。

その他にも、有料素材を購入せずに使用していたり、サンプルを勝手に利用することも著作権の侵害にあたります。

著作権侵害になった事例

Webデザインの業界で有名な、著作権侵害の事例についてご紹介しておきましょう。注意を怠っていると、誰にでも起こりうることがおわかりになるかと思います。

アマナイメージズの事例

アマナイメージズは、写真素材で有名なサービスです。このアマナイメージズ、サイトで提供している有料素材を無断で使用されたとして、訴訟を起こしているんです。

2015年の判決では、アマナイメージズの主張が認められました。その結果、無断で素材を使用した弁護士法人に対し、約30万円の支払いが命じられたのです。

有料写真の無断使用、「ほかのサイトから入手したので知らなかった」は通用せず──判決が確定 – ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1508/21/news117.html

ここでよく注目しておきたいのは、加害者側に著作権侵害の故意・過失があるかどうかは問題ではなかった、ということ。「知らなかった」では済まされないのです。利用者側は、素材の著作権について抜けもれなく確認する責任があるのです。

イラストレーター・クリエイターが著作権について知っておくべきこと

Webデザイナーだけでなく、イラストレーターやクリエイターも著作権については理解しておきたいもの。ぜひ知っておきたいポイントを2つだけご紹介します。

トレースは複製行為にあたる

写真や画像をトレースして、イラストをつくることもあるかと思います。これには注意が必要です。トレースした段階で複製行為にあたるので、複製権や翻案権の侵害になる可能性があるのです。著作権が切れた、もしくは自ら作成した素材を使うか、許可をとった素材を使うようにしましょう。

著作権の譲渡は慎重に

制作会社やデザイナーは、自分の制作物に対する著作権を、クライアントに渡すことができます。これを著作権の譲渡(著作権譲渡契約)といいます。具体的には、ロゴやデザイン、キャラクターなどに適用するケースが多いですね。あとで問題にならないためにも、翻案権や二次的著作物の利用についても明確に記載することが求められます。

類似作品をチェックする方法

ここからは、自分が制作したデザインに類似のものがないか調べる方法についてご紹介します。ちょっとした時間でチェックすることができるものばかりです。手間だからと言わず、トラブルを未然に防ぐためにもぜひ習慣的に行うようにしてください。

方法1.検索エンジンで画像検索をする

Google

Googleで類似画像を検索
https://www.google.co.jp/

検索エンジンのGoogleでは、類似の画像を検索することができます。インデックスされたさまざまな情報を利用しているので、非常に精度の高い検索結果を得ることができます。

Yandex

Yandexで類似の画像検索
https://www.yandex.com/

ロシアの検索エンジン最大手、Yandex(ヤンデックス)です。Googleと同じく、ブラウザ上から類似の画像を検索することができます。画像をアップロードするか、画像ファイルのURLを指定して検索を行うこともできます。

方法2.画像検索専用のツールを使う

TinEye

TinEyeで類似の画像検索
https://www.tineye.com/

類似の画像を検索して調べることのできるツールです。独自の画像検索アルゴリズムを使っていて、検索の精度も評判がよいです。自動トラッキング機能(似た画像がウェブで見つかったらアラートしてくれる機能)も備わっており、かなり実用的。

画像をアップロードするか、画像ファイルのURLを指定して使います。ChromeやIEなど、メジャーなブラウザに対応したプラグインも提供されています。

IMAGERAIDER

IMAGERAIDERで類似画像検索
https://www.imageraider.com/

IMAGERAIDERは、GoogleやBing、Yandexなどの検索エンジンを使って、横断的に類似の画像検索を行うことのできるサービスです。画像ファイルをアップロードするか、画像ファイルのURLを指定して使います。

TinEyeのトラッキング機能にあたる、ウェブモニタリング機能も備わっています。商用向けのサブスクリプション有り。

二次元画像詳細検索

二次元画像を検索
http://www.ascii2d.net/

アニメやマンガなど、二次元の画像素材に限定した検索のできるサービスです。2chを中心に類似画像を検索します。こちらも画像のアップロード、もしくは画像ファイルのURL指定で使うことができます。

色合いや画像の特徴を元に検索しているのですが、モノクロの場合など、条件によってはうまく検索できないこともあるようです。

あとがき

手軽に類似の画像を検索したい場合は、Googleなどの画像検索が便利。デザイナーやフォトグラファーにとっては、TinEyeやIMAGERAIDERにあるトラッキング機能も役に立ってくれそうです。シーンに合わせて使い分けていってください。


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