マーケティングを少しでもカジッたことがある人なら、「3C(分析)」という言葉を聞いたことがあると思います。
3Cとは、Customer(顧客・市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の頭文字で、ビジネス環境の分析やブランド構築の際に使われる基本的なフレームワークとなってます。
なんて書くと仰々しくなりますが、3C分析はリスティング広告の現場レベルでも役立つ手法なので、もっと日常的に活用してもらいたいものです。
リスティング広告運用のトラブル対応に使える3C
例えば、「突然、リスティング広告の成績がガクンと落ちた!」というトラブル。こんな時、「やばいよ、やばいよ。このままだとクライアントに何言われるか分かったもんじゃないから、すぐテコ入れしないと!」と、やみくもに入札価格や広告文を変えても仕方ありません。行き当たりばったり、小学生レベルの思考です。
冷静沈着に3Cのフレームワークを使ってトラブルの原因を探るのがプロというものです。
1.Customer(顧客・市場)を探ろう!
リスティング広告でCustomerを探るポイントはいくつもありますが、まずは以下のポイントを確認してみましょう。
主力キーワードのインプレッション数が減ってないか?
CV(コンバージョン)に貢献してるキーワードのインプレッション数が減れば、当然CVも減ります。
アカウント構築時の分析であれば、「キーワードプランナー」や「Google Trends」で検索回数を調べるのが鉄板ですが、突然という場合は、シンプルに広告管理画面でインプレッション数やインプレッションシェアの変化を探るのが吉。
ただし、インプレッション数が落ちた場合も、「部分一致のキーワードを停止した」、「除外キーワードを追加した」、「1日の予算が減った」等、設定上の変化が影響してる可能性があるので注意が必要です。
検索クエリに変化はないか?
検索クエリは年々変化するものです。効率重視でキーワードのマッチタイプを完全一致に絞ってる場合、クエリの変化に気づきにくいので注意が必要です。絞り込み部分一致で、すべてに「+」を付けてるような場合も同様です。
特に、就活や学校、塾のようにターゲットが毎年ガラリと入れ替わるビジネスは、検索クエリ以外の変化にも注意してください。気づいたらGoogleではなく、Twitterが主戦場になってた・・・なんてこともありますよ。
ディスプレイネットワークのプレースメントに変化はないか?
特定のプレースメントでCVを稼いでる場合、該当サイト(ページ)自体のアクセスが減った可能性があります。「オーガニック検索等で該当サイトにアクセスし、イメージ広告をクリックして自社サイトでCV」という黄金パターンが崩れてしまうと、なかなか手の打ちようがないので厄介です。
イメージ広告が飽きられてないか?
リマーケティング広告は、多くの業種で有効な広告媒体ですが、ずっと同じイメージ広告で追いかけてるとユーザーに飽きられクリック率が下がる傾向があります。
いきなり差し替えるのが怖いようであれば、複数のイメージ広告をローテーションさせてもいいでしょう。もちろん、イメージ広告を変えれば売上が戻るという単純なものではないので、ユーザーリストの見直しも忘れずに。
2.Competitor(競合)はどうよ?
Webマーケティングで意外に見落としがちなのが競合の変化です。
競合と自社の広告データを比較する
リスティング広告の競合調査には、AdWordsの「オークション分析」が有効。競合のインプレッションシェアや競合より上位に広告が出たパーセンテージ等が一目瞭然です。管理画面でキーワードを表示させ、「詳細」→「オークション分析」で確認できます。
まずは、広告効果が落ちた前後の期間で調査してみましょう。ざっくりキーワード全体で見てもいいのですが、主力キャンペーンと主力キーワードについては個別にチェックしてみてください。競合の変化だけでなく、新たな競合の出現も脅威になります。
- 【オークション分析画面に出てくる用語】
- インプレッションシェア:広告の表示機会に対して広告が掲載された割合
- 平均掲載順位:広告が掲載された時の平均順位
- 重複率:競合と自社の広告が同時に掲載された割合
- 上位掲載率:競合と自社の広告が同時に掲載された時、競合の広告が上位に出た割合
- ページ上部表示率:広告が掲載された時、ページ上部(検索結果の上部)に出た割合
- 優位表示シェア:自社の広告が掲載された時、競合が下位に表示されたか出なかった割合
競合の広告文に負けてないか?
広告のクリック率は掲載順位だけでなく、広告文にも大きく左右されます。定期的にYahoo!、Googleで検索して、広告文を比較してみてください。
広告文を調査するツールもありますが、実際に検索することで、サジェスト(関連用語の表示)やオーガニック検索の順位、検索結果画面の変化も確認できるので、少し時間をかけてでも「目視」することをお勧めします。
また、競合の価格変更やキャンペーン、イベント等も成績ダウンの原因となりえます。管理画面とにらめっこしてるだけでなく、競合のWebサイトやLPをチェックするクセをつけておきたいものです。
3.Company(自社)に原因はないか?
3Cの最後にチェックするのがCompanyです。
突然、成果が落ちたという場合、直近の設定変更が原因というケースが多いので「変更履歴を表示」で遡ってチェックするといいでしょう。大きな変更については、ExcelやAnalyticsのメモ欄で管理しておくと運用が楽になります。
CustomerやCompetitorに原因が見当たらない場合、面倒ですがリスティング広告の設定を成果が下がる直前の状態に一気に戻すこともありえます。また、リスティング広告側ではなくWebサイト側の原因を探る姿勢も重要ですよ。
- 【突然、成果が落ちた時にありがちなミス】
- 広告文を一気に入れ替えたら、品質スコアが下がっていた
- キャンペーンを分割したが、地域やデバイスの設定を忘れていた
- リンク先のページが削除されていた
- CV測定用の設定がWebサイト側のミスで外されていた
まとめ
「突然、リスティング広告の成績がガクンと落ちた!とき、現場で使える3Cとは?」初心者には難しい内容もあったと思いますが、いかがでしたか?
3Cのフレームワークはリスティング広告だけではなくWebマーケティング全般で活用できます。トラブルが起きた時には、当記事を思い出し落ち着いて原因を探ってください。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」(松浦静山)なのですから。