IT業界やWEB業界の移り変わりが早いのは周知の事実ですが、それに伴って新しいワードも頻繁に生まれます。最近では「グロースハック」というワードを耳にする機会が増えましたが、グロースハックとは一体なんのことなのでしょうか?
グロースハック(Growth Hack)とは何か?
グロースハックの意味を調べると「課題発見からKPI数値向上までお手伝い」とあります。いまいちわかりにくいので違う表現に直すと、「ビジネスの継続的な成長(グロース)×IT、WEBにおける高い技術力による仕組化(ハッキング)」となります。もう少しかみ砕いていうならば、「効果改善を継続的に行い、サービスを成長させるための手法」です。
一般的にグロースハックは、サービスや生産を成長させる施策と定義されることが多いですが、必ずしも成長の対象となるのはサービスや生産だけでなく、「採用活動」「ブランド力アップ」「コアなファンを獲得」など、様々な施策が挙げられます。
具体的な例を挙げます。Eコマースサイト画面の構成がアクセスするたびにチェンジする、ソーシャルゲームやドロップボックスなどのツールに友人を招待して課金アイテムや特典をもらったことがある、景品に釣られてアプリのレビューの星マークを5つにしてしまった。こんな経験は無いでしょうか。
現在ある商品・システム・サービスの改善し、モニタリングしながらさらに自社の商品などを成長させることが「グロースハック」なのです。
現在、ITサービス業界を中心に、「グロースハック」という言葉は浸透してきています。最近はベンチャー企業を中心に、「グロースハッカー(=グロースハックをする人)」という職種を募集する会社も登場しています。グロースハッカーに近い職種でいえばWEBマーケッターでしょう。しかし、グロースハッカーはWEBマーケッターのさらに上の知識を要します。システムからデザイン、SEOなどWebのすべてを網羅する必要があり、現在最もクリエイティブなポジションとも言えるでしょう。
移り変わりの早いIT業界だから、グロースハックは効果的!
グロースハックとは何のために必要なのか? ここでは具体的になにをすれば良いのかを、実際の成功事例と合わせて紹介したいと思います。
例えばTwitterでは5~10人フォローしたユーザーは定着率が高いということがデータから分かったので、初回登録時に5人フォローさせるような導線を置きました。その結果、MAU(ある月に1回以上活動のあった利用者の数)が4倍になったそうです。
繰り返しになりますが、サービスを改善させるために様々な施策を試し、成果の出た施策を次々とサービスに取り入れて成長させることが「グロースハッカー」の仕事です。
「Web サービス」「スマートフォンアプリ」などのように開発期間が短く参入障壁が低い市場は、競合他社も常にいます。現在、使用している商品・サービスより良いものがあれば、すぐに別のものに乗り換えられてしまうようなライフサイクルの短い市場です。
そのような移り変わりの早い環境の中では、リリースしたサービスのユーザー行動やデータを見て、コストをかけずに短い期間で仮設の構築と検証を行い、サービスを改善させていくことが非常に重要とされています。だからこそ、今の時代においてグロースハックという手法が注目されているのです。
グロースハックを取り入れた成功事例
グロースハックを行い、大成功した代表的な事例を紹介します。どのサービスにも共通して言えるのは、小手先の施策を打つのではなく、しっかりとサービスの課題を仮説立てて検証と改善を繰り返していることです。マーケティングの基本、PDCAサイクル(PDCA cycle、plan-do-check-action cycle)をしっかりと回しています。
ユーザー数1.7億人獲得。Dropboxの驚異的な手法
友人招待によるインセンティブ付与で登録率を60%押し上げ、他にもSNS連携やゲーミフィケーションなど独自の施策を打ちつつも、サービスの本質をしっかりと突き、ユーザーを爆発的に増やしてきた「Dropbox」。グロースハックの事例としては、大変参考になる事例です。
大々的なてこ入れを慣行。クックパッドユーザー年々拡大中
3年以内400万人獲得を目指すクックパッド。誕生日クーポン、クックの日(9月9日)キャンペーン、友人招待などを行い、有料会員を継続利用へと結びつけています。Dropboxの施策よりもグロースハックのイメージが掴みやすいかもしれません。
新規会員登録1日1万人を実現した「pixiv」のグロースハック
indexページやログインページの改修をはじめ、ページ内コンテンツ量の削減やSEO対策など多岐に渡るグロースハック施策を行っています。グロースハックによって、ユーザーが急増!これぞ!グロースハックといえる良い事例です。
まとめ
常に変革、勉強が求められるIT業界に導入されている発想法「グロースハック」。グロースハックは単純な「手法」でも「ツール」ではありません。グロースハックで成功してきたサービスも仮説を持って施策を行い、ひたすら改善施策を繰り返してきた結果、成功にたどり着きます。ご自身のサイト・サービスに適した改善施策を考え、実行し改善させていくようなグロースハックをぜひ実行してみてください。