飲食店、美容室、エステサロン、学習塾、専門学校、歯科医院、透析クリニック、整体院、接骨院、ジムなどなど、店舗型ビジネスでリスティング広告を打つ場合、肝になるのが商圏の把握です。
リスティング広告はGoogleAdWordsの場合、配信エリアを国、都道府県、市区町村、ある地点からの半径で指定できます。細かくいえば、世帯年収でエリアを絞ったり、関心のある場所(羽田空港等)も指定できますが、これは正直使ったことありません(笑)
問題なのは、「感覚で商圏を決め打ちしてはいないかい?」ということです。
- 東京と埼玉、千葉、神奈川くらいかな
- 東武東上線沿線だけ強めよう
- 車社会だし半径20kmを抑えよう
こんな具合に。
そこで今回ご紹介するのが、「昼夜人口見える化ツール」と「交通手段見える化ツール」です。どちらも無料で、Excelがあれば動く優れものとなっております。
1.昼夜人口見える化ツール
昼夜人口見える化ツールは、全国自治体の昼間人口と夜間人口を調べるツールです。調べたい市区町村を指定するだけで、以下の項目を見える化できます。
- 年齢別の人口
- 昼間人口、夜間人口、昼夜差
- 通勤、通学者数(男女別)
- 指定した市区町村に常住している人の通勤通学地
- 指定した市区町村に通勤通学している人の常住地
- 昼間人口・市区町村別純移動人口(上位50市区町村)
- 昼間人口・市区町村別純移動人口(下位50市区町村)
Excelファイルを開く
昼夜人口見える化ツールを開くと、まず入力シートが表示されます。
市区町村を選ぶ
調査したい市区町村の「Check」欄に「1」を入力します。同時に複数の市区町村を選ぶこともできます。その場合、調査したい市区町村すべてに「1」を入れます。
また、「Check」欄に「2」を入力すると通勤通学先をグループ化できます。例えば、渋谷区を「1」、さいたま市の10区すべてを「2」にすると、渋谷区に通うさいたま市10区の通勤通学者データをまとめた形で調べられます。この場合、Graphや詳細シートでは市区町村名の代わりに「2」と表示されます。
データを見る(人口データと通勤通学者の概要)
入力シート右のGraph1シートを開くと、指定した市区町村の「年齢別の人口」、「昼間人口」、「夜間人口」、「昼夜差」、「通勤、通学者数(男女別)」、「指定した市区町村に常住している人の通勤通学地」(どこに行ってるか)、「指定した市区町村に通勤通学している人の常住地」(どこから来てるか)が見える化されてます。
データを見る(通勤通学者の詳細)
Graph2シートでは、通勤通学者の詳細データが確認できます。男女や通勤通学を分けて調べたい場合は、C4セルで選択できます。
「昼間人口・市区町村別純移動人口(上位50市区町村)」は流入人口から流出人口を引いた数値の上位50位。ざっくり言うと、「来る人数より、行く人数の方が少ない場所」です。
「昼間人口・市区町村別純移動人口(下位50市区町村)」は下位50位。ざっくり言うと、「来る人数より、行く人数の方が多い場所」です。
また、詳細シートでは、「指定した市区町村に常住している人の通勤通学地」と「指定した市区町村に通勤通学している人の常住地」の全データが確認できます。
昼夜人口見える化ツールのリスティング広告活用法
店舗型ビジネスで主にチェックするのは、「指定した市区町村に通勤通学している人の常住地」。店舗のある街に、どの街からたくさんの人が来てるか確認できるわけですから、以下のような戦術が考えられます。
- 該当地域を配信エリアに指定する
- リマーケティング広告で該当地域を強化する
- 通勤通学していない週末に該当地域を強化する
また、逆パターンとして「指定した市区町村に常住している人の通勤通学地」に昼の時間帯だけ広告を出すといった施策も考えられます。
※あくまでも「通勤通学者」なので、「観光やショッピング」の人口移動については参考程度に
2.交通手段見える化ツール
交通手段見える化ツールは、人口10万人以上の都市の通勤通学に関する交通の利用手段を調べられます。調べたい市区町村を指定するだけで、以下の項目を見える化できます。
- 指定した市区町村に常住する人の通勤通学地
- 指定した市区町村に通勤通学する人の常住地
- 利用交通手段(種類、人数、構成比)
- 通勤通学地別の利用交通手段
- 常住地別の利用交通手段
Excelファイルを開く
交通手段見える化ツールを開くと、まず入力シートが表示されます。
市区町村を選ぶ
調査したい市区町村の「Check」欄に「1」を入力します。同時に複数の市区町村を選ぶことはできません。
「指定した市区町村に常住する人の通勤通学地」と「指定した市区町村に通勤通学する人の常住地」は特定の地域を選ぶこともできます。「CB」欄で個別に市区町村を選択すると、Graphシートに反映されます。
こちらは複数選択可能ですが、一番上の「全地区町村」のチェックを外さないと個別の指定は反映されません。
データを見る(利用交通手段の見える化)
入力シート右のGraph1シートを開くと、「利用交通手段(種類、人数、構成比)」が見える化されてます。
「徒歩だけ」、「鉄道・電車」、「乗合バス」、「自家用車」、「自転車」だけではなく、「鉄道・電車及び乗り合いバス」のように2種以上の交通手段を絡めた人数も確認できます。
データを見る(通勤通学地別の利用交通手段)
常住シートでは、指定した市区町村に常住する人の通勤通学地別に利用交通手段が確認できます。ざっくり言うと、「何に乗って、どこ行ってるの?」です。
データを見る(常住地別の利用交通手段)
通勤シートでは、指定した市区町村に通勤通学する人の常住地別に利用交通手段が確認できます。ざっくり言うと、「どこから、何に乗って来てるの?」です。
交通手段見える化ツールのリスティング広告活用法
店舗型ビジネスで主にチェックするのは、すばり「常住地別の利用交通手段」。店舗のある街に、どこからどんな手段で来てるか確認できるわけですから、以下のような戦術が考えられます。
- 自家用車の割合が多ければ半径指定を強化する
- 鉄道・電車の割合が多ければ各駅からの半径指定を強化しつつ、吊り革広告や駅構内の広告を提案する
- 自宅勤務の割合が多ければ、店舗地域を強化する
※あくまでも「通勤通学者」なので、「観光やショッピング」の人口移動については参考程度に(二度目)
まとめ
「昼夜人口見える化ツール」と「交通手段見える化ツール」いかがでしたか?
平成22年国勢調査のデータなので、やや古いといった欠点はありますが、クライアントとの初回打ち合わせ時にこれらデータを持参すると一目置かれるはず。また、リスティング広告運用の中で、配信エリア拡大でCV数アップを狙ったり、エリアを縮小して効率化を狙うケースなどに活用してみてください。
ツールのダウンロード(無料)はこちらから
「昼夜人口見える化ツール」と「交通手段見える化ツール」は埼玉県公式ホームページからダウンロードできます。省庁や自治体のホームページには、マーケティングの参考になる統計データが山のように落ちてますから、本当にありがたいことです。